ひじき  伊勢志摩名産品の豆知識


ヒジキはヒバマタ目ホンダワラ科のこげ茶色をした海藻で、
北海道南岸から日本各地沿岸、韓国沿岸に分布している。
潮の流れの速い波のよく当たる岩場の、満潮時には海水に浸かり、干潮時には水面に顔を出すようなところによく生育する。
ヒジキの長さは大きいものでは80センチ〜1メートルになる。
採取は主に冬から初夏にかけてで、春先の新芽のものが極上とされる。
ヒジキ採りは干潮時に手摘みで行うことが多い。

ヒジキは他の海藻とは違い、軽く湯通ししたくらいでは硬くて食べられない。
そこで長時間煮る(あるいは蒸す)作業を行う。
煮上がるまでは2〜4時間ほどかかる。
熱湯に入れると、最初はこげ茶色だったヒジキは美しい緑色に変わる。
その後、加熱されるとともに緑色から茶色、褐色に変化する。
鉄の釜で煮る(蒸す)とヒジキに含まれる鉄分が多くなり、最終的には黒く仕上がる。

煮上がったヒジキは流水で洗い、ゴミや異物を取り除いて水切りしたあと乾燥される。
乾燥は天日にさらす方法か自動乾燥機などによる。
天日乾燥の場合は晴れた日なら1日でパリパリに乾燥する。
日照が足りなければ一度取り込んで翌日もう一度天日にさらす。
最後にもう一度、ゴミや異物の検査をし、袋詰めして商品となる。
部位別に、芽の部分を芽ヒジキ、茎の部分を長ヒジキと呼ぶ。

近年は韓国産ヒジキが日本国内の流通の大半を占めるが、
伊勢志摩(三重県)はヒジキ採取・加工の国内主要産地である。
太平洋の荒波が打ち寄せる磯では海女たちがヒジキを摘み、
冬から春にかけ、伊勢志摩の海辺ではヒジキを天日干しにする光景が見られる。





 あらめ 伊勢志摩名産品の豆知識


アラメはコンブ目アラメ属の海藻で
岩手県南部以南の太平洋岸・瀬戸内海・九州と、日本海中部から南部、朝鮮半島にかけて分布している。
葉は暗褐色で、根元から葉先までの長さは1〜2メートルに達する。
伊勢志摩沿岸に生息しているのは厳密にはアラメと同属のサガラメといわれており、アラメよりやや大型である。

採取は、小舟から長いカマを使って水深3メートルほどのところのアラメを刈り取る。
刈り取り後は蒸気で蒸しあげて細かく刻み乾燥させることが多い。
蒸したあと刻んでいるため、水戻しが10分ほどの短時間で済むことがアラメの特徴である。
「刻みアラメ」として商品化されている。

アラメは近縁のカジメとともに"海中の森"と呼ばれるほど繁茂する。
アラメ・カジメ類はアワビやウニなどの動物や植物性のものを好む魚類の餌となり、海中の食物連鎖に大きく貢献している。
水深20メートルまでの海中環境にとりアラメ・カジメ類はなくてはならない存在である。
アラメは、伊勢志摩の豊かな漁場を育む主たる海藻である。




 あおさ 伊勢志摩名産品の豆知識


「アオサ」の名は方言で、学名上は「ヒトエグサ」が正しく、ヒトエグサ科ヒトエグサ属に分類される海藻である。
天然のものは太乎洋岸の中部から南部・九州・南西諸島に分布し、満潮線と干潮線の間の岩の上などに生息している。
葉はあざやかな緑色で柔らかく、大きさは15センチほどになる。

アオサは養殖技術が確立しているため、天然物より養殖されたものが主に流通している。
アオサの養殖は波静かな湾口や河口付近で行われ、冬から春まで数回に分けて採取される。
採取後、ていねいに水洗いして異物を取り除き、脱水し、薄く広げて乾燥する。
伊勢志摩産を中心とする三重県のアオサ生産量は全国の約7割を占め、アオサは名実ともに伊勢志摩を代表する海藻である。
その大半が海苔佃煮の原料として加工用に供されるが、伊勢志摩ではアオサの柔らかな食感をいかして汁の具や酢の物とすることが多い。
味覚としても伊勢志摩を代表するものである。





 めかぶ 伊勢志摩名産品の豆知識


メカブは、生長したワカメの茎の下部にできるヒダ状の部分の呼び名である。
ワカメは、太平洋側は北海道室蘭より南、日本海側は北海道以南の、日本全国ほとんどの沿岸部に生息する日本人にはポピュラーな海藻である。
古くから食用とされてきた歴史がある。
以前は硬くて食用には不向きだと捨てられていたメカブだが、近年になって食物繊維やビタミン・ミネラルの豊富さが注目され、健康志向とともに一躍脚光を浴びるようになった。


ワカメはアラメと同じように小舟からカマを使って採取される。
ワカメは春から初夏にかけて最もよく成長し、長さは1〜2メートルになる。
ワカメは、葉・茎・根に分かれ、葉は柔らかくて粘り気がある。
茎が成熟するとその両縁に深いヒダができる。
これがメカブ(芽株)で、ワカメの胞子ができるところである。
胞子ができるところだけあってメカブは栄養に満ちている。

メカブは、産地近くでは生のまま固まりやスライスの形で販売されているが、
遠隔地向けには湯通し後に冷凍したものや乾燥させたものが多く出回っている。
なかでもメヒビと呼ばれる乾燥後に1ミリ幅にカットされたものが使いやすい。
伊勢志摩や関西以西ではメカブのことをメヒビと呼ぶことが多い。
湯通ししたあとにかきまぜると次第に粘りが出る。
それを汁の具にしたり、うどんにからめたり、納豆のように食べる。
酢の物にするとさらに栄養価が高い。















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